『マイケル・サンデルが誘う「日本の白熱教室」へようこそ』を最近読破しました。
"対話型講義"を取り入れている日本の大学の講義10コマが生き生きと書かれています。
まるで自分も教室の1生徒になった気分で一気に読み進めました。
その中にあった講義の1コマをご紹介したいと思います。
慶応義塾大学の「宗教社会学」の樫尾直樹准教授のクラスで行われた「宮崎アニメは危険か?」
このタイトルだけを見ても、「えっ?」と惹きつけられませんか?
読み進めるとアニミズム(animisum)という思想が出てきます。
簡単にいうと「どんなものにも霊が宿っている」という説なのですが、宮崎アニメは子を持つ親の1人として、『絶対危険ではない』とは言い切れないと、私は判断しました。
大人気「となりのトトロ」に"まっくろくろすけ"が出てきますが、"子供にしか見えない"と謳っています。
判断能力がまだ備わっていない幼い子供たちには、アニメと現実の切り分けは難しいでしょうし、"子供には見える"とインプットされてしまう危険性がないとは絶対に言えないと思ったからです。
講義の中で樫尾准教授は、「宮崎アニメは文化的に無防備な子供に霊的存在の実在性を刷り込む学習効果をもたらします。(『マイケル・サンデルが誘う「日本の白熱教室」へようこそ』より抜粋)」と力強く、そして、印象深く語っています。
少し話がズレますが、息子の通う保育園のお散歩コースに神社があります。
ある日、息子(当時3歳)が「神社に行って、神様にお祈りをしたんだよ」と私に話してくれました。
担当いただいている先生にご確認したところ、「境内には神様がいて、そこでは遊んではいけないよ。」とルールを教えて下さったとのこと。
もちろん先生は悪いことをしたわけではありませんし、おそらく一般的な日本人の考え方であって、当たり前な行動なのだと思います。
ただ、樫尾准教授の言葉を借りれば"実在性を刷り込む”行為というのは、実は身近には多く存在しているのではないかと、"息子、神社に行く事件"で考えるようになりました。
もっと多面的に物事を見ることの大切さを改めて感じさせてくれた本でした。